この作品は創作画である。主題はシッダルタ王子(後の釈迦如来) が、出家を決断して王宮を逃れ、自分
の髪を切る場面。 その様子が画面右下。そして、画面中央には、虹とともに天空に駆け上がる天女が描
かれている。天女が両手に持っている皿には、切り落とされた釈迦牟尼の髪が盛られてある。
2012年始めごろから金箔を多用する技法を取り入れてきたが、ここに至り独自の創作性として定着してき
た。また、一幅の画面に物語性を持たせたこの作品には、これからの方向性を感じている。(研二)

編集者からこの場面についての余談。剃髪は出離の翌朝、舞台はアノーマー(Anoma)河畔、またはマイ
ネーヤ(Maineya ) 族の都アヌヴァイネーヤ(Anuvaineya)と伝わっている。興味のある向きは当ホー
ムページの「タンカの物語」を参照されたい。
右も新作、紺紙に金泥描による白多羅菩薩