43.騎龍弁天
 Srasvati

この模写を試みようと思うきっかけとなったのは、実物を上野の国立博物館「ボストン美術館・日本美術の至宝展」で観たことだった。いつものことながら、大勢の人々の頭越しにしか見ることはできなかったが、一目でこの絵のオーラは充分感じ取れた。それとともに、これらの出品作のような日本の国宝級芸術品が海外に流出している、という事実にショックを受けた。ヨーロッパの美術館でチベットの優れた美術品を見た時と同じような気持ちに襲われたのを覚えている。

原画は橋本雅邦が描いたものである。技術的なことは何もわからないまま,綿布に描きだしはしたものの、どうにも満足がいかず、一応仕上がりはしたと思いながらも何か足りないような気がして、数か月あれこれ手を加え、やっと完成と言える段階まで辿りつけた。このような描き方をすることは実に稀で、いつもは作品に取り掛かったら最後まで描きあげてしまうのだが、この作品に対しては違っていた。おそらく、私にとってまったく新しい様式の絵画であったからだろう。

弁天、もしくは弁財天とはヒンズー教に起源を持ち、芸術・文芸を志す者が崇拝する神であったのだが、仏教に取り入れられ、中国、朝鮮を経て日本までくる間に、いつの間にか財宝神として富をもたらす神となってしまっていた。

Opus-150 02/2017 (56 x 43 cm)