48.チェムチョク
 Chemchok Heruka

ありとあらゆる尊像のオンパレードのようなこのタンカは、私たちが死んで次の再生までの中有とよばれる四十九日間に、魂が出会うとされる四十二の柔和尊と五十八の忿怒尊を描いたものである。

中央の赤い体をして妃を抱きしめているのがチェムチョク。彼は普賢菩薩の忿怒形で、このタンカの最上位中央に柔和形で登場している。

人が死んでからの初期の段階に現れるのは、このタンカの上の方に描かれている赤・黄・青・緑の円の中に描かれている柔和尊たち。後期になると中央チェムチョクの周りに描かれている五体の忿怒尊たちと対面すると経典では説かれている。

このタンカはチベット仏教四大宗派の一つであるニンマ派で特に重要視され「シト・ダンパ・リグギャ」と呼ばれている。

人の死から次の再生に至るまでに通る中有での魂のさまよいの様子や、ここに描かれている尊像たちに関する詳しい説明は、日本でもよく知られている「チベット死者の書」に書かれている。この経典はニンマ派でよく用いられ、臨終間近の人の枕もとで僧侶や近親者によって読まれる習慣がある。興味がある方はぜひそちらを読むことをお勧めしたい。

Opus-69 7/7/1994 (74 x 55 cm)