【3】浄土図

 はじめの二つのタンカ[18][19]は日本の浄土信仰でもよく知られる阿弥陀仏の西方浄土を描いたものである。この西方浄土を描く場合の規定は、宮殿内に八人の菩薩を描くことである。その他の構成は絵師の自由である。一枚が横描き、他が縦描きであることからもお分かりになろう。

チベットにも、阿弥陀仏に限らず多くの種類の極楽浄土を描いたタンカがある。[22]の千手観音菩薩の宮殿もその一つである。それらの浄土図を描くときには、ある程度の規定はあるが、比較的絵師の想像力が発揮できるジャンルの一つで、はじめの二枚のタンカはそのよい例である。